とあるサイバー疫学者の備忘録

『セキュリティエンジニアの知識地図』を読んでいて、途中で手が止まった箇所があった。スレットハンター(脅威ハンター)について書かれたところだ。
本にはこうある。
「既知の攻撃パターンを超えて未知の攻撃手法や悪意のある行動をいち早く見つけ出す」
このくだりを読んだとき、自分でも意外なくらい素直に反応してしまって、Kindleに一言だけメモを残していた。
「スレットハンターを目指したい。」
自分で書いたくせに、あとで読み返すとちょっと照れくさい。でも、なぜあの瞬間にそう思ったのか、少し考えてみたくなった。
今、自分は CompTIA CySA+ の勉強をしながら、セキュ塾のホワイトハッカー育成コースを修了して、続けて脅威インテリジェンスコースを受講している。ちょうどそのど真ん中にいるタイミングでこの章に出会ったので、余計に刺さったんだと思う。書いてあることの一つひとつが、今まさに勉強している内容と地続きだった。ネットワークやOSの知識、ログ解析、脅威インテリジェンス、プログラミングによる自動化——どれも「聞いたことがある」ではなく「今やっている最中」のことばかりで、久しぶりに教科書と自分の距離が近い感覚があった。
ただ、少し時間が経ってから読み返すと、自分が本当に惹かれていたのはどこだったのか、意外とはっきりしないことに気づいた。
自分がキャリアとして描いているのは、どちらかというとスレットハンターのような現場での技術的な検知よりも、脅威インテリジェンスやガバナンス寄りの方向だ。特に、医療系のシステムがAIやノーコードでどんどん作られていく時代に、それを作った側が自分でセキュリティの担保をできないという状況に問題意識を持っていて、そこを守る仕組み側に興味がある。だから「スレットハンターを目指したい」と書いた自分と、普段考えている「アナリスト→シニアアナリスト→CTIチームリード」という道筋は、実はぴったり同じ方向を向いているわけではない。
それでもあの瞬間に惹かれたのは事実で、たぶん「攻撃者より先に気づく」という行為そのものの面白さに反応したんだと思う。ガバナンスの仕事は仕組みを整える側だけど、スレットハンティングはもっと直接的に「見つける」側だ。自分の中に、まだその両方への興味が同居している。
正直に言うと、この章を読んだだけでは「自分はハンター向きなのか、それともガバナンス向きなのか」という問いに答えは出ない。データ分析やログ解析のスキルは今の勉強の延長線上にあるとしても、それを実務としてやり続けたいのか、それとも仕組みを設計する側に回りたいのかは、まだ自分の中で言語化しきれていない。
今のところは、脅威インテリジェンスコースとCySA+の勉強を進めながら、自分がどちらの動きに手応えを感じるかを、実際に手を動かして確かめていくしかないんだろうなと思っている。読んで「わかった」で終わらせず、次の勉強や、今取り組んでいるツール作りの中で、もう少し具体的な形にしていきたい。
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